猛暑から一転、朝晩は肌寒くなり、秋の気配が強くなってきましたね。

秋と言えば運動会の季節(最近は5月に運動会を開催する学校も多いようですが)。

さて、子供さんの活動が活発になれば増えてくるのは外傷です。

親がどんなに細心の注意を払っていても、子供の怪我は避けられませんよね。

ウチの子も4歳の時に縫合が必要な怪我をしました。

子供の怪我は本当に辛くて(一番辛いのは怪我をした本人ですが)、代わってあげたいくらいでした。

当院は歯科医院ですので、お口周りのけが、特に歯の外傷について説明させて頂きます。

 

歯を怪我した際の症状は大きく以下の5つに分けられます。

(1)歯が欠ける、折れる

(2)歯がグラグラする

(3)歯が抜ける

(4)歯が歯ぐきにめりこむ

(5)歯が変色する

 

(1)歯が欠ける、折れる

歯冠破折と言います。破折の程度で処置内容が変わります。

①破折が神経(歯髄)まで達していない場合

虫歯治療と同じように、レジンという樹脂で歯の形を再現して治療します。破折片がある場合、状態が良ければ接着できる場合もあるので、歯科医院にお持ちください。

②破折が神経(歯髄)まで達している場合

歯髄を残せる場合は薬剤で保護をしてからレジンで歯の形を再現して治療します。歯髄の損傷がひどい場合は歯髄を取り除き、薬剤や材料で埋める処置を行います。また、破折が大きい場合は差し歯などを被せる処置を行います。

 

(2)歯がグラグラする

揺れが少しで位置の変化もない場合は1週間程度で揺れが収まることがあります。

揺れが大きい、痛みが強い、位置が変化した等の場合は、ワイヤーと接着剤を用いて周りの健康な歯につなげて固定します。

どちらの場合も歯根破折や骨折などのダメージが隠れている場合もあり、レントゲン撮影が必要になることも多いので、受傷後お早めに歯科医院を受診されることをお勧めいたします。

 

(3)歯が抜ける

抜けた歯を元の位置に戻す「再植」の成功率を向上させるカギは、「歯根膜」という歯根の周りの組織のダメージを最小限に抑えることにあります。

抜けた歯に砂などの汚れが付着している場合は、歯冠(普段見えているいわゆる歯の部分)を持って歯根(歯の根っこの部分)を洗浄します。歯根をつまんだりゴシゴシ洗ったりせずに流水で優しく汚れを洗い流します。洗い流すための水は後述の生理的食塩水が望ましいですが、短時間であれば水道水でも構いません(汚れが長時間ついている方が問題です)。

その後、歯牙保存液があれば歯牙保存液に歯を浸けて24時間以内、できるだけ早くに歯科を受診してください。歯牙保存液がない場合は牛乳(未開封が望ましい)か、生理的食塩水に浸けましょう。生理的食塩水は500mlのペットボトルの水に小さじ1杯弱の塩を混ぜればほぼ近い物ができます。

歯根膜は乾燥に弱いです。最悪何もなければ水道水でも、とにかく乾燥させないようにしてください。

歯根膜や周囲組織の状態が良好など、条件が揃った場合は再植を行い、近くの歯と固定して経過観察を行っていきます。

再植が困難な場合も処置が必要になりますので歯科医院へご来院ください。

 

(4)歯が歯ぐきにめりこむ、位置がずれる

歯を元の位置に戻し、周りの健康な歯につなげて固定を行って安静を図り、回復を待つのが基本的な治療です。

低年齢のお子さんの乳歯や生え始めの永久歯の場合は、歯根が未完成で自力で生えてくれる可能性があるので、無理に動かさずに経過を観る場合があります。

 

(5)歯が変色する

強く歯を打ってから数週間~数カ月経過して歯の色が変わることがあります。

これは、衝撃によって歯髄が損傷して内出血が起こり、壊死してしまったために起こります。

痛みが無くても、いわゆる「神経が死んでいる状態」のため、細菌感染すると歯ぐきまで腫れてしまったりするため、早めの受診をお勧めいたします。

壊死した歯髄を取り除き、お薬を詰めるような処置を行う場合が多いです。

 

特に乳歯の場合、上記の症状に伴ってこれから生えてくる永久歯の位置や生える方向、歯並び、歯の形や色などに影響が出ることがあり、定期的な経過観察が必要になります(永久歯の場合でも経過観察は必要です)。

 

歯を打って、出血や強い痛みがある場合、受傷したお子さんはもちろん、保護者の方も動揺してしまうと思います。

実際、ウチの子も2歳ごろに歯を打って出血したことがあり、大変焦りました(怪我させ過ぎで反省してます)。

幸い軽傷で、出血も口唇からのもので、すぐに治りました。

落ち着いて状況を判断し、対処することが歯の健康を守ることにつながります。

今回の記事が参考になれば幸いです。

 

松原歌奈子