ご無沙汰しております。

なんと3か月もブログを放置しておりました…継続力のない副院長です。

 

三寒四温とは言いますが、厳しい寒の戻りがきたと思うと、急に夏日の様になったり、身体が追い付かなくて体調を崩してしまいそうですね。

季節の変わり目にひきやすい風邪などの感染症や、口臭・歯周病などのお口の健康、そして歯並びに「口呼吸」が悪影響を及ぼすことをご存知でしょうか?

 

実は人間以外の哺乳類は口呼吸をしません。

犬が「ハッハッハッ」とするのは呼吸ではなく体温調整のためですし、キリンは鼻が詰まると死んでしまうので長い舌を使って鼻をほじるそうです。

人間は言葉を話すようになり進化しましたが、それに伴い喉頭の構造が変化し、口呼吸ができるようになりました。

つまり口呼吸は極めて特殊な呼吸なのです。

 

空気中にはチリや花粉、化学物質やにおいの成分、菌やウィルスなどが浮遊しています。

鼻で呼吸をすると鼻毛や粘膜がフィルターとして働いてくれますし、冷たく乾いた空気でも暖めて湿度を与えてくれて、有害な物質や刺激の強い空気が肺に入らないようにして身体を守ってくれます。

ところが口で呼吸をすると有害物質を含んだ空気が入ってくるため、感染症になりやすかったり、体全体の免疫が低下するリスクなども考えられます。

口呼吸と免疫については喘息やアレルギー性鼻炎などとの関係性も指摘されているそうです。

 

当院は歯科医院ですので、口呼吸とお口の健康に関する情報をお届けしようと思います。

口で呼吸すると、口の中やのどが渇いてカラカラになります。

すると、唾液の流れがなくなるので、歯に付いた食べ物の残り(食渣)がくっついて取れにくくなるうえ、お口の中の菌も流されないため、食渣から歯垢ができ、虫歯や歯周病の原因になります。

舌の表面も渇くので痛みが出たり、舌苔(ぜったい)という汚れがつきやすくなり、歯垢と合わせて嫌なにおいを出すので口臭の原因となります。

 

また、長期にわたって口呼吸をすると歯並びへも悪影響が出ます。

 

リラックスしている時、皆さんのお口周りはどのような状態でしょうか?

理想的とされる状態は、唇は閉じ、上下の歯は咬まずに軽く空いた状態で、舌は上顎(口蓋)にぴったりとついている状態です。舌の先は上の前歯の裏側の歯茎にある膨らみ(スポット)にあたっている状態が良いです。

私は歯科医師になる勉強を通じてこの理想的な位置を知って、自分は常に歯が咬み合っていて緊張状態にあることを知りました。

 

口呼吸をすると、唇は開き、上下の歯は大きく開き、舌の位置は下がります。

口を開くことで頬の粘膜は狭まり、歯列を横から内側へ押し込むように働きます。

その際に舌が内側から押し返してくれないので、歯並びは狭くなっていきます。

また唇が開いているため、前歯には唇の圧力がかからないので、前歯が前方に傾いていきます。

結果、歯並びがV字に狭くなったり、歯並びのガタガタ(叢生)が強くなってしまうことがあります。

口呼吸によって鼻が詰まっても死ぬことはなく、発音もできるようになって人類は発展していきましたが、歯並びに関しては百害あって一利なしです。

いびきのひどい方は口呼吸をしているので、ご注意です。

 

矯正相談にいらっしゃる患者さんの中に、口呼吸をしていたりぽかーんと口を開けたままのお子さんが多くおられます。

鼻づまりで口でしか呼吸ができない時はどうしようもないのですが、基本的には口呼吸をするようにおすすめし、必要があれば耳鼻咽喉科の受診をおすすめすることもあります。

鼻は通っているのに口で呼吸をしてしまう方は、口呼吸が癖になってしまい、口輪筋(口の周りの筋肉)が弱っている可能性もあります。

風船を膨らませるなどの簡単なトレーニングで口輪筋を鍛えてあげるのもいいかもしれません。

ウチの子は最近風船を膨らませることができるようになり、銀行からいただいた風船を何個も得意げに膨らましておりました。ありがたいことにウチの子は鼻呼吸が上手です。

 

花粉や黄砂で鼻づまりが気になる時期ではありますが、口呼吸が癖にならないようにお気を付け下さい。